■ティーツリーの話■

1.ティーツリーの木

Tea Tree(ティーツリー)は、オーストラリアの樹木で学名をMelaleuca Alternifolia(メラルーカ・アルテルニフォーリア)と言います。野生では沼沢地帯に繁殖し、樹高は最大で6〜7メートル程になります。名前から「お茶」の木を連想しがちですが、これらは全く別の樹木になります。

日本語ではティートリー、ティートゥリーなどとも表記されているこの植物はオーストラリア大陸の東海岸、ニューサウスウエールズ州北東部からクイーンズランド南部を中心とした川沿いの湿地帯が主産地で、この地域で生産されるティーツリーから作られるオイルが最高品質とされています。湿地帯とはいっても冬場のぬかるみとは対照的に夏場には地割れがするほど乾燥する、厳しく苛酷な自然環境で生育しています。

注意していただきたいのが、「ティーツリー」の名でまったく別の植物が存在することです。代表的なものはマヌカハニーで有名なニュージーランドのマヌカであり、香りも抽出されるオイルの成分構成面でもまったくの別物になります。そのため、これらの混同を避けるためにティーツリーオイルとは呼ばずに学名から「メラルーカオイル」と呼ぶケースもありますが、実はメラルーカ種の他の植物からも(たとえばニアウリやロザリーナなど)まったく香りも成分も異なるオイルが生産されている事から、これも適切な呼び名ではありません。

ややこしい話ですが、ここで語る「ティーツリー」を探す際にはMelaleuca Alternifoliaという学名が表記されている事を確かめるのが一番の早道です。

2.ティーツリーの歴史

ティーツリーの名前の由来は昔、オーストラリア大陸を西洋人として発見したキャプテンクックがその葉をお茶代わりとして飲用したため、と広く言い伝えられていますがその真偽を含めて実際のところよくわかっていません。
ただ、かなり古くからオーストラリアの原住民であるアボリジニが薬用として用いていた事が知られており、人間との付き合いは比較的古いものと推測されています。

西洋医学においては1925年、オーストラリアニューサウスウエールズ州政府の科学者、アーサー・ペンフォールド氏による3年間にわたる試験の結果、このTea Tree(ティーツリー)オイルが当時の主要な抗菌剤であった「石炭酸」の3倍以上の強力な抗菌性があることを証明・公表したことから各国で医学上の研究が進み、純自然薬としてのTea Tree(ティーツリー)はオーストラリア、ドイツ、イギリス、アメリカなど多くの国の医学・薬学会に報告されることになりました。また、こうした事からオーストラリア軍兵士が過去の世界大戦時に医薬品として持ち歩いた事も知られています。

その後、抗生物質の誕生により一時、注目を失いましたが、抗生物質耐性菌の発見や自然薬への関心の高まりから昨今、再び注目を集めるようになりました。Tea Tree(ティーツリー)オイルは48種以上の有機化合物を含む複雑な物質で構成され、殺菌消毒に有効なテルピネン-4-オールを30%以上(ティーツリーファームズの商品は更に高い数値で36〜45%)も含んでいます。これらの有機化合物の相乗効果により皮膚の炎症の治療から、切り傷・擦り傷、関節炎や筋肉痛、そして水虫やカンジダといった感染症にまで効果のある「体に優しい自然薬」としてオーストラリアをはじめ世界各国でその価値が認められ、輸出されるようになりました。


 


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